2022.09.05
公簿売買と実測売買
土地の売買には「公簿売買」と「実測売買」の2種類の方法があることをご存じでしょうか。
今回は、公簿売買・実測売買についてお話したいと思います。
◆公簿売買とは
登記簿上の面積(公簿面積)を売買する契約のことをいいます。売買価格は公簿面積で算出し、のちに公簿面積が実際の面積と異なることが分かったとしても、その差を清算しない(売買価格を変更しない)契約です。測量を行うかどうかは買主の任意です。
【メリット】
測量を行わなければ、測量に必要な費用・時間・手間がかからないことです。
【デメリット】
1.まずは金銭面のデメリットです。実際の面積が登記簿上の面積よりも大きい場合は売主が、小さい場合は買主が損をすることになります。
2.さらに、実際の面積が小さすぎる場合には、買主が計画していた建物が建てられない可能性があります。
3.また、測量を行わなければ隣地所有者との境界立ち会いがされないため、境界に関するトラブルが発生するリスクもあります。
登記簿上の面積は正しいものだと思われがちですが、公簿面積と実測面積に誤差が生じることはよくあります。公簿売買は十分な注意が必要です。
【公簿売買におすすめのケース】
1.取引きを急ぐ場合です。測量にかかる時間が省けるため、とにかく早く引渡し(決済)を行いたい場合には有効な方法です。
2.直近に正確な測量がされている場合です。直近に作成された確定測量図があれば信頼度が高く、再度測量を行っても同じ面積となる可能性が高いからです。
3.土地が広大な場合です。広大な山林や農地では測量に莫大な費用がかかるためです。
4.単価の安い土地の場合です。面積に誤差があったとしても差額が少額となるため、数十万円の費用をかけて測量を行うメリットが少ないからです。
◆実測売買とは
実測した面積(実測面積)を売買する契約のことをいいます。手順は、まず公簿面積で契約し、その後測量を行い、実測面積を引渡すという流れで行うことが一般的です。契約時に1㎡あたりの単価を定めておき、公簿面積と実測面積に差があった場合は引渡し時に精算します。
【メリット】
1.正確な面積を取引きできることです。正確な面積をもとに金額を算出するため、金銭面で公平な取引きができます。
2.測量を行うため隣地所有者との境界が明確になることです。境界に関するトラブルが起こりにくくなります。
【デメリット】
1.測量の費用がかかります。土地の測量は専門家に依頼して行いますが、数十万円ほどの費用が必要となります。測量費の負担は売主と買主の協議で決定します。
2.時間がかかります。測量には早くても1ヶ月程度の時間がかかります。隣地所有者と連絡が取れなかったり、道路との境界査定を行う場合には数ヶ月の時間を要する場合もあります。
【実測売買におすすめのケース】
1.高額な土地の場合です。土地によっては数平米の誤差で価格が何百万円も変わることもあるためです。
2.測量の記録が古い場合です。昭和の昔は測量技術の精度が低かったことや、分筆が行われた土地の面積が現在と異なる方法で求められていたことなどから、登記簿上の面積が正確ではない可能性が高いためです。
このように、いずれの方法でもメリット・デメリットがあります。それぞれの取引きについてしっかりと理解して、売主と買主ともに納得したうえで取引きを行うことが重要です。